暮れの出来事

皆様こんにちわ 店長の睦です 今日、メイクも半分しか終わってない状態で 制服に着替えもせず2度寝したら 母に起こされたのは 出勤2分前でした。 2分間で何ができると言うの トイレ行って終わりですよ。 そんな感じで、朝から若干心折れ気味で出勤した私です。 今日はアンパンポテトのおいしさについて語ろうかと思ってたんですが 姉に 「しょーもなっ!」 と一蹴りされてしまったんで 別の事書きます・・・・・。 う〜ん 何書こうかな 去年の暮れに出くわした事でも書きましょうか。 あの日は大晦日の事でした。 大晦日の日は、イトコの楓も泊まりに来て 祖母の家で年越しそばを食べ 私達は紅白を見ながらゴロゴロし 祖母達はおせちをつくって・・・ そんな毎年お決まりな大晦日の事でした。 大晦日は夜が更けるのがはやく 気づくと、夜中の2時を過ぎていました。 私と姉は、イトコの楓をつれて 私達の家に帰る事にしました。 祖母の家から私達の家までは200メートルくらいで近いんですが 道が果てしなく怖いんですよ。 どう怖いかというと 道が細く曲がり角が多いうえ 古風な純日本家屋が多いんです。 そして電灯も少ないので もうその怖さったらもう 未だに夜に一人では通れない程です。 そんな道を 私と姉と楓は3人並んで歩いていました。 真冬の風がつらくダウンを着てても凍えそうです。 3人いてても怖い事には変わらず 角を曲がると誰か一人減っていたり 後ろから女の人が追いかけてきたり 薄暗い光がチカチカとする電信柱の後ろに影が見えても不思議じゃないような そんな不気味で真っ暗な夜道でした。 そんな怖い道を、ホラー好きな私達は お墓の話をしながら歩いていました。 すると、暗い曲がり角を曲がった時 遠くの方に誰か人がいてるのです。 それは、電灯もなく暗い道の真ん中で 車いすに座っているご老人でした。 ご老人はどこかに向かうわけでもなく ずっとそこから動かないのです。 私達、その異様な光景に一瞬固まりましたよ。 だって、大晦日の このくそ寒い夜の丑三つ時に なんで真っ暗な夜道に車いすのご老人が一人でいるんだと。 さっきまでの和気あいあいさは一瞬にして吹っ飛んで みんな表情が固まったまま そのご老人を見つめました。 しかし、 その道を通らなければ この寒いのに回り道になりますし 今から引き返すのもあれですし 誰の足が先だったか 私達はその老人を通り過ぎる事にしました。 3人とも心なしか速足ですよ みんな冷静を装ってるけど心の中は 疑問と恐怖でいっぱいですよ。 ドキドキしながらご老人を通り過ぎた私達は 曲がり角を曲がったところで 曲がり角の陰に隠れながら コッソリとご老人を見ました。 「なんでこんな時間におじぃさんがおんの!?」 丑三つ時に コソコソと話ながら物陰からご老人を見つめる女3人。 何もしらない人が私達を見たらビックリして腰を抜かしそうな光景です。 するとご老人を見ていた姉が 「あのおじぃさん、家に入りたいんちゃうかな」 と言いだしました。 私とイトコは はい???な状態です。 でも、もしそうなら ほおっておくわけにもいきません。 まだ少し怖かったけど 3人でご老人に話かける事にしました。 「あの・・・家に入れないんですか?」 と聞くと ご老人は口が不自由なのか モゴモゴと何かを言いたそうにしながら 私達に鍵を差し出しました。 車いすのせいで手が届かないのか、 それとも手がうまく動かせないのかはわかりませんが どうやら、玄関の鍵をうまく開けれないようです。 鍵を受け取った私達は ご老人が幽霊じゃなかったことにホッとしながら 代わりに鍵を回して、玄関の扉を開けました。 ご老人はぺこりと頭を下げ 私達も「じゃあさようなら」とその場を去ったわけですが やはり、曲がり角を曲がったところで ちゃんとご老人が家に入れるかどうかを見届けようと 私達は物陰にかくれてご老人をみてました。 ですが、そのご老人はなかなか家に入ろうとしないんですよ。 最初は鍵でもポケットに直してるのかとも思ってたんですが あまりに長いというか あれ??と思い始めた頃 ようやくご老人は車いすを動かし、家に入ろうとしました。 ですが、今度は車輪が玄関に引っかかって上手く入れないようです。 私達は一度去った身ですが これまた放っておけないので 「あの・・・手伝いましょうか」 とまさかの再登場。 ご老人は頭を下げながら手をひらひらさせていました。 多分「いえいえ、大丈夫です」という意味なのでしょう。 そうジェスチャ―されては むやみに車いすを押せないので 私達はご老人の後ろで何もせずただ見守っているだけという なんとも奇妙なやり場のない状況になってしまってました。 しばらくしてご老人は家に入って見えなくなってしまったんですが あれ・・・・ 玄関の扉あけっぱなしですよ おじいさん・・・・ 私達はそっと扉をしめ、 今度こそ家に帰ることにしました。 後で母に聞くと そのおじいさんは近所では有名らしく 体が不自由な為、身の周りの世話をしてくれるお手伝いさんはいるものの 放浪癖があり、 車いすでいろんなところに一人でフラフラと行ってしまうそうです。 一人で出かけるのはいいとしても、 あの時間まで外に一人でいるのはさすがに心配な話です。 あの時、偶然私達が通ったからいいものの、もし通らなかったら ご老人はあの極寒の中ずっと家に入れなかったってことですよ。 あの時はご老人は幽霊じゃなくてホッとした私ですが 後で考えてみれば一体どれほどの時間、 鍵が開けれれずに困っていたんでしょうか。 そう考えると、なんだか胸が痛んだ去年の大晦日の出来事でした。