講演会
皆様こんにちはデザイナーの睦です。
昨日は友人Yちんに誘われていた講演会に行ってきました。
講演会の前にカフェで腹ごしらえ。
途中で友人の友人達とも合流し、一緒に会場に向かいました。
友人の友人達は6人ぐらいいてて、まずそこでちょっとビックリ。
だって講演会って同世代の友達同士でいくものっていう概念がなかったから。
講演会の内容というのは、池間哲郎氏による「日本はなぜアジアの国々から愛されるのか~私達が学ぶべきこと~」というタイトルでした。
池間さんというのはカメラマンとして会社経営の傍ら1987年より国際協力運動をされている方です。
10年余りは個人として支援を継続、その後、団体を設立し現在は認定NPO法人アジアチャイルドサポートとなりまして
その活動は30年近くに及び、池間個人のたった1人から始まった活動は5千名近くの会員となり、日本有数の大型国際協力団体へと成長されているそう。
講演会の内容をざっくり説明すると
池間さんが国際協力運動をされる中で、出会ってきた世界中の恵まれない子供達の実態や、その子供達から学んだことというかんじの講演内容です。
2時間の講演時間で、チケットは3500円。
正直申し上げますと、今回私は友達のYちんに誘われたからついていっただけで、自分からこういった講演に行こうと思ったことはまず1回もなかった。
こういった堅い感じの講演会にくるのは、おじさんおばさんばかりだろうと思っていました。
きっと会場にいてる若い世代は、私達ぐらいなもんだろうって。
だからね、会場についてビックリしたんです。
会場にいてた9割近くが、20代もしくは30代だったことに、一番ビックリした。
友達同士でショッピングの帰りにでも来たのかと思うような女の子たちもいれば、若い夫婦や学生のようなカップルで来ている人もいる。
この講演会は年齢制限でもあるのかと思ったくらい、若い人達ばかりだった。
会場は空席がないくらい超満員でした。
こういう講演は一部の意識高い系がいくものだと思っていたけど、私が思っていたよりも、実はもっと身近に考えられていた問題だったのかもしれないし、身近に感じないといけない問題だったのかとカルチャーショックに近い衝撃を受けました。
講演は、池間さんの体験談を世界の子供達の映像や写真も流しながらという感じでした。
その中でも私が心に残った事をご紹介。
池間さんがラオスのある地域に行った時のこと。
その地域では多くの不発弾が残っており、病気の蔓延も激しく、貧困から治療もできず、手足をなくす人が多い所なんだそうです。
20代の、ハウセン病で片足を亡くした若者がいたんですって。
その男性を励ますために、池間さんは「お前はまだ若いんだからまだまだこれからだ!」といった言葉を言ったそうです。
するとその男性はとても激怒して、池間さんにこう怒鳴りつけたそう。
「その言葉は、ここでは一番言っちゃいけない言葉だ!!」
そこで、池間さんは知ったのです。
日本では若者は希望の象徴とされているけど、ラオスのその地域では、逆に若者は地獄の象徴だとされていることに。
若い分、生き地獄がこの先何十年も続く。
20代の若者が、もう明日死ぬかもしれないおじいさんおばあさんの事を羨ましいと思う。
そんな所だったのです。
池間さんの団体は、その男性に義足を作ってあげ、ちゃんと治療ができる施設を作りました。
そして村の人達にハウセン病に対する正しい知識を教え、差別をなくしました。
するとある時その男性は池間さんにあるものが欲しいと頼みます。
「オートバイが一つ欲しい。」
「なんだお前、欲しいって自分の物かよ」
池間さんが思わず笑ってしまうと、男性は理由を説明しました。
オートバイがあれば、動けない老人の変わりに自分が町まで薬や物資を取りにいくことが出来るからと。
その理由を聞いた池間さんは、男性にオートバイを用意してあげました。
今も男性は片方が義足のその足でオートバイに乗りながら村のみんなのために町まで薬や物資を調達しているそうです。
あともうひとつ、ゴミ山で生きる子供と、タイの寺院で生きる子の話。
とある地域では貧困が激しく、人々がゴミ山の中で生きているそうです。
そのゴミ山では人体に有毒なガスも発生しますが、人はそこでゴミをあさって食いつなぐしかない、そんな所です。
そこでは、ほとんどの子供は長く生きれません。
病気で亡くなるということもあるけど、ほとんどの子供がゴミを運ぶ大きなトラックに轢かれてしまうのです。
実際にそのトラックの映像を観たけど、子供がいようがいまいが全く関係なしにゴミ山の間を猛スピードで走るトラック。
これじゃ確かに子供はすぐに轢かれてしまうでしょう。
大人になるまで生きれる子供は、3人に1人だそうです。
一方、タイの寺院。
ここでは、多くの子供が修行として入ることになります。
貧しい親が、子供を生きさせるためにここに入れるのです。
色んな村々から親が子供を連れてくるけれど、それは親子の永遠の別れと同じことなんだそうです。
その寺院にくるだけで多くのお金がいるので、子供が親の元に帰ることは出来ないのです。
スクリーンには、なかなか別れることが出来ず、周囲から引き離された親子の写真や
父親においていかれて呆然としている幼い兄弟の写真もありました。
しかし、その寺院では多くではないにしろちゃんと毎日ご飯ももらえるし、勉強も教えてもらえます。
大きなトラックに轢かれて死ぬこともありません。
なのに、ゴミ山の子供たちは毎日笑って生きてて
タイの寺院の子供達はいつも悲しそう。
それは、甘えられる親がいるかいないかの違いだそうです。
子供にとって、親という存在はそれほど大きな存在だという話でした。
だから、甘えていいときは子供をちゃんと甘えさせてあげて、ある時がきたらちゃんと突き放さないといけない。
「過保護というのは虐待よりも時に深刻な問題となる」という事を仰っていました。
「やりたくないことはしなくていい」
「欲しいものは簡単に与える」
そんな事では、子供は感謝をしない子供に育ってしまう。
大切なのは、幸せの量ではなく、幸せだと感じ取れる力を育てること。
そう池間さんは仰っておりました。
「最大のボランティアとは、お金をあげることではなく、自分自身が一生懸命生きること。」
「みなさん、一生懸命、生きてくださいね。」
そう締めくくられておりました。
会場内はつねに誰かの鼻をすする音が聞こえていました。
池間さんの講演は3回目だというYちんも泣いてた。
私はなぜ友人が3回も同じ人の講演を聞きにいってるのか不思議でしたが、講演を聴き終えた後は、それがちょっと分かる気がします。
最初の一回の講演では、あまりに色んなことが大きすぎて、ちゃんとした感想がでてこない。
会場のたくさんの人達が涙を流しながら聴いているなかで、私は涙もでてこなかった。
どう受け止めていいのかわからなかったから。
悲しいとか
かわいそうとか
ビックリしたとか
感動したとか
そんな一言ではいえない気持ちになります。
私もこれから先、この講演を何度も反芻して思い出し、そのたびに少しずつ自分の感じたことが自分自身でわかっていくのだろうと思いました。
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